【番外編】帰宅

 中野駅から私の家までの間は道のりで4キロメートルぐらいあり、23時の終バスを逃すとこれをとぼとぼと寒い中一人で歩く羽目になる。タクシーを使えば10分位で帰れるのだが、深夜料金込みで2000円ちょっと取られるし、それならばと歩いて帰ることのほうが多い。

 

 駅を出ると目の前にサンロードという商店街があり、その奥に中野ブロードウェイがある。ブロードウェイの雰囲気はとても好きでよく行くのだが、帰るときにはそちらには行かず、商店街を外れて中野サンプラザのほうに行く。中野サンプラザ世界文化遺産に登録されていることで有名な文化施設で、平安時代から続く由緒正しいコンサートホールや、徳川家康が使用したことで有名なボウリング場、もうすぐ取り壊されるのでめちゃくちゃ縁起の悪い結婚式場、それから近畿日本ツーリストの事務所が入っている。この施設の前の広場は時間帯によってその姿を七変化させることで有名で、朝方から昼にかけてはコンサートの物販で人がごった返し、夕方はコンサートから帰る人でごった返し、そして夜は酔っぱらった若者が暴れたり騒いだりしている。

 

 少し北の方に歩いていくと異常に警官が通る回数が多い住宅街がある。あまりにもパトカーやオマワリの乗った自転車とすれ違う確率が高すぎるので、ああやはり自分は公安からマークされているのかと思っていたが、どうやら普通に沼袋駅の交番から出て管轄内を一周パトロールするルートの途中なだけだったらしい。中核派と渋谷のガストに行ったあれが公安にバレてなくてよかった。ちなみにその道の途中にはめちゃくちゃでかい建物が今現在建設中で、どうも東京オリンピックの卓球公式練習会場らしい。いや今オリンピックの何か月前だと思ってんだよ。

 

 中野と練馬の中間には沼袋という西武新宿線の駅があって、駅前にかなり勾配のきつくて長い坂がある。そこは商店街になっていて、ガールズバーと飯屋しかない。この時期めっちゃ寒いのに、女の子がめっちゃ寒そうな格好で客引きをしているのでかわいそうになってくる。沼袋は治安が良いので雀荘がないが、沼袋は治安が悪いのでパチンコ屋がある。ほかに特筆するところは何もない。

 

 商店街を抜けると謎の夜中まで煌々と光っているラーメン屋がある。夏に一度夜の1時くらいに入ったら、酔っ払いのおっさんと隣の席になったことがあり、おっさんうんうんと生返事をしていたら銀杏やら餃子やらたくさん注文してくれ、食事のお代を全額持ってくれた。そのおじさんは結構な頻度でいるらしく、行ったら必ず(といっても二回くらいしか会ったことない)おごってくれるので、僕はそのラーメン屋に行くことをパパ活と呼称している。

 

 救急車が通り過ぎた。家が近い証拠である。家の近くに大きい病院が二つあって、夜中とかは必ず家の前を救急車が通るのでうるさいことこの上ない。早く家を出たい。

 

 今日は特に何もしてませんでした……